
埼玉県の熊谷にあるローカルなレコードショップ、モルタルレコード(MORTAR RECORD)。そのモルタルレコードの20周年を記念して開催されたイベント。
会場は渋谷 TSUTAYA O-EAST。渋谷のライブハウスの中では1番大きい。キャパシティは1300。割とライブハウスでは大きい方だ。
出演するバンドはキュウソネコカミ、Hawaiian6、10-FEET。この会場でこのキャスティングは凄まじい。
もちろんチケットはソールドアウトしている。
開場30分前から人がたくさん並んでいた。彼らが身につけていたのはそれぞれの好きなバンドのバンT。年齢層は思ったより低めだった。
開演予定時刻の19:00になった瞬間に、SEが流れ始める。そしてトップバッターで登場したのは今年10周年のキュウソネコカミであった。
キュウソネコカミ
SEがなり終わり、メンバーが定位置に着くと”デーデン”となり始めヤマサキセイヤがこう歌い始めた。
誰にも負けられない
ウィーワーインディーズバンド(1st Mini Album”ウィーアーインディーズバンド”収録曲)より
この言葉と同時に観客は声をあげ、サビのコールアンドレスポンスではトップバッターの1曲目だとは思えない声量で歌っていた。
「ビビってねぇよ!」とセイヤが言って始まったのは彼らのヒットナンバー”ビビった”。メジャーデビュー以来この曲を色々なライブハウスやフェスで演奏してきたせいか、初めて2015年2月にキュウソネコカミを見た時よりも演奏技術が遥かに上がっているように感じた。
その後続けて演奏されたのは”メンヘラちゃん”、”ファントムバイブレーション”。彼らの圧倒的な特徴のあるメロディで会場を異常なまでにわかせていた。
「スマホはもはや俺の臓器」と会場が一体となって叫び、その声量にメンバー全員が笑顔になっていた。
「スマホの曲第二弾ができました」と演奏されたのは新曲”戯我浪費”。この曲はファントムバイブレーションとはまるで違い、通信制限を表のテーマとし、裏テーマでSNSやネットに対する悩みなどを表している気がした。
MCではCDに対する思いを語り、彼らはCDに1番凝っているという。その通りだと思う。彼らは歌詞カードやジャケットにすごく凝っている。そん中で彼らがサブスクに流さなかった、CDのみで聴ける曲を演奏した。
その曲は彼らの新譜にボーナストラックとして収録されている”怪獣のバラード”。今の時代にYOUTUBEでもサブスクでも聞けないからこそ、この曲はライブで味を出していた。
怪獣の立場になって描かれたバラードは、切なく心を震わせた。あんなに激しかった会場が静まり、観客も曲にのめり込んでいた。すご。
この曲が終わると会場の雰囲気はキュウソネコカミの楽器隊の演奏とセイヤの「BRAHMAN TOSHI-LOWさんにリスペクトを込めて」という言葉で一変する。
セイヤは客の上を歩き始め”TOSHI-LOWさん”が演奏された途端、ダイバーが次から次へとセイヤの元へ転がり始める。セイヤは曲中で服を脱ぎ始め、転がってくる客とグータッチをしたり、客を押しのけたり、肩を組んだりしていた。
演奏が終わると、ステージに戻ったが新曲”Welcome to 西宮”でまた客席にダイブをした。
その後のMCで「こうやってお客さんがいてくれることで僕らバンドマンやモルタルレコードが成り立ってます。」と熱い言葉を残し演奏されたのは”推しのいる生活”。
そして、”冷めない夢”と”the band”という熱い曲を連続して歌い、演奏して彼らのライブは終わった。
彼らがこの5年で様々な経験を積んできたからこそだと思うが、正直彼らがここまで熱く感動できるライブをやるとは5年前は想像もつかなかった。
感動とは反対側で活躍していたバンドが、ここまで人の心を揺らし、掴みライブをするようになったのは彼らの経験値と彼らの努力の結果だろう。
キュウソネコカミはどこまでも成長していく。メジャー行って6年目でも第一線で戦っていて、2度目の幕張メッセまで決定している。ロック業界において革命的なバンドといっても過言ではない。
キュウソネコカミのライブが観れるの最高だね。冷めない夢に挑み続けるキュウソネコカミはSo最高だね。
Set List
1,ウィーワーインディーズバンド
2,ビビった
3,メンヘラちゃん
4,ファントムバイブレーション
5,戯我浪費
6,怪獣のバラード
7,TOSHI-LOWさん
8,Welcome to 西宮
9,推しのいる生活
10,冷めない夢
11,the band
Hawaiian6
メンバーが登場したと思ったら登場したのは四星球の北島康雄。ただ遊びに来ていただけなのにHawaiianのHatanoに「前説やれ」と言われ出てきたらしい。
唐突なこととはいえ、彼のMC技術はかなり高いので、会場を暖かい空気にしてHawaiian6のライブへとつないだ。
メンバーがSEと共に位置に着くと演奏されたのは彼らの代表曲の1つでもある”Magic”。この曲が始まった途端観客は一斉に声をあげて前へと突っ込んでいき、前にいた者は飛んで前まで転がって行った。
その後続いた”Bleed”、”Burn”、”Wonder”でも観客は人の上を転がり続け、中にはステージに上がり、Hatanoに一礼し、彼のシンバルを叩いてステージにダイブしている人たちもいた。
怖そうな見た目してるのにHawaiianのファンめちゃめちゃ礼儀正しいやんけ。
その後のMCでモルタルのことを駄菓子屋だといじりつつ、彼らの関係がどれほど長いかを語り、観客にモルタル行ったことあるかを問うと7割が手をあげていた。
彼らが全国で75枚しかCD発注されていない時代に10枚も発注していたモルタルの話をして次の曲”The Lightning”を演り始める。
熊谷の居酒屋全部出禁なHawaiian6の客だからか、異様にダイバーが多い。支える人の数が明らかに間に合ってない。かっこいい。
その後の”Without A Sound、”Tiny Soul”、”RAINBOW RAINBOW”でもダイバーが止むことはもちろんなく、むしろ増えていく一方であった。Aメロでダイブって。最高かよ。
“RAINBOW RAINBOW”好きすぎて我死亡。
その後のMCでオナニーマシーンのイノマーさんのことについて触れ、いきていることの大切さを知った。
四星球の康雄の前説が長すぎたのが原因らしく終わりを仄めかしたが、その後3曲続けて演奏した。全然終わらないじゃん。好き♡
“I Believe””Eternal Wish, Twinkle Star”を演奏した後にHatanoが火薬に指を1本ずつ折らせ、小指だけ立たせた。最後に歌われたのは約束の歌。”Promise”。
また会う約束をメンバーと観客でこの曲を通してすることができた。また会いに行こう。
Hawaiian6とモルタルレコードの信頼関係はMCでも説明されていたが、それ以上にLIVEの曲中で感じることができた。
曲で思いをちゃんとしっかり伝えられるのはライブハウスを味方にしてしまうライブバンドだけなんだと思う。言葉じゃなくて曲で伝えた彼らはまさしくライブバンドであった。
1,Magic
2,Bleed
3,Burn
4,Wonder
5,The Lightning
6,Haze
7,Without A Sound
8,RAINBOW, RAINBOW
9,I Believe
10,Eternal Wish, Twinkle Star
11,Promise

10-FEET
SEのそして伝説へが流れ始めた途端、無数のタオルが観客の頭上に上がる。まあ、観客があげてるんだけど。この光景は他のバンドでは見られない。また、そのタオルによって、メンバーの登場は見えない。
格好いい。そんな彼らが楽器を持って「始めようか」とTAKUMAが口にし「お前らが楽しめなかったら俺らのせいや。”goes on”。」と謙虚な姿勢で激しい曲を始めると、ずっと後ろにいた観客が走って前へと飛び出す。
激しいメロディにナイーブな歌詞を乗せたこの曲はみんなが優しい笑顔で肩を組みながらクルクル回っていた。歌詞に心を打たれながら飛んでいた。死ぬ。
このまま激しいナンバーで攻めてくるかと思ったらTAKUMAが「5年先、10年先、20年先のことなんてわからん」と叫び歌い始めたのは”風”。は?え。
“太陽4号”ができてからこの曲はあまり演奏されることはなく、”蜃気楼”の長崎でのライブ映像が公開されたからもっと演奏される回数は減り、全国の”風”ファンは日々悶絶していた。
しかし、時は2020年。ワンマンじゃなくても”風”が演奏される時代になった。歓喜。
そして、この曲が終わると、「1,2,1,2,3,4」と言い曲を始めるのかと思ったら始めないというコントを見せつつ演り始めたのは”RIVER”。母は泣いた。僕も泣いた。隅田川だった。
その後、「公開を引きずり回せよ。負けんなよ。」と始められたのは”夢の泥舟”。僕がこの曲の好きなところはこの曲の最後のところでTAKUMAが「ああ、何度も何度もやって、やっと辿り着いたのに見えるのは同じ景色やんけ。」っていう所。
重めのメッセージを受け取った後に、ドラムを早く叩き始め”1sec.”、”2%”と続けて会場を沸かせる。”2%”の最後には湘南乃風フーチャリングの時の歌詞も歌われていた。
その後、昨年リリースした”ハローフィクサー”で観客を最高潮まで持ってくる。もうこの曲、新曲感全然ないやんけ。お客さん最高だな。
MCでは主催をいじったり、KOUICHIにMCさせたり、すごく自由にアーティスト側も観客側も楽しんでいた。
僕らの思いを10-FEETがぶちまけてくれる”その向こうへ”では観客の歌声が大きすぎて「お前ら声デカいねん」と笑っていた。めっちゃ歌った。
「あと2曲」と言って
明日には もうそこには もうそこには
ヒトリセカイ(16th single”ヒトリセカイ×ヒトリズム”収録)より
と歌い始めた。”ヒトリセカイ”だ。本当に名曲だ。TAKUMA、NAOKI、KOUICHIそれぞれのパートが際立って1つのものできている。激しいメロディとは裏腹にこんなにも心を締めるような歌詞に観客全員が大きな口を開けて歌い叫んでいた。
「最後の曲」として始まったのが”VIBES BY VIBES”。何度Aメロの歌詞に助けられたことだろう。節々に「負けんなよ。生きろよ。たまには怒れよ。」と言っていたTAKUMAの言葉が観客の心を救う。
「アンコールの時間もらってるんですけど、本編がちょっと早く終わっちゃったのでもう1曲、短めの曲を追加で演ります」と言い「Haha〜GO‼︎」とTAKUMAが言い始めた途端、最後まで後ろで見ようと思っていた観客が前へと走り始めた。
みんなのテンションがバグっていた。本当におかしかった。僕もおかしかったけども。
そして、ラスト。まさかの”蜃気楼”。え。まじか。は。え。
“蜃気楼”連合会会長として一言言いたい。ラストに”蜃気楼”最高かよ。いや、本当に最高。観客の歌声もエモかったし、最強だった。
10-FEETが残した言葉がことある度僕を歩かせる。これは確かだ。
TAKUMAがライブ中に「信頼できる友達より、裏切られても『あいつならしゃあないな』と思える友達を作れ」と言っていた。
この言葉は1日経った今でも響いている。こういう言葉がまた僕を歩かせる。
何回も学んで挑戦して、失敗して後悔する。その後悔を引きずり回してもいいんだと肯定しているTAKUMAの言葉を胸に今日も生きている。
モルタルがこういった周年を迎えられているのは生きていたからである。生きていなきゃ周年も祝えない。
改めてモルタル20周年おめでとうございます。生きて存続してくれたからこうやって良いライブを見ることもできました。感謝です。
バチバチな沁みるライブに来れてよかった。
1,goes on
2,風
3,RIVER(隅田川)
4,夢の泥舟
5,1sec.
6,2%
7,ハローフィクサー
8,その向こうへ
9,ヒトリセカイ
10,VIBES BY VIBES
11,SHOES
12,蜃気楼
https://tower.jp/item/4910337/ハローフィクサー<通常盤>
文末ポエム
また同じ夢を見ていた。また会えるという約束。冷めない夢。追い続けても追い続けても出てこない。魔法にかけられたように未だ会えると思い続けている。なあ、本当に、どこへ行っちまったんだよ。
そんな暗闇の中、光刺すステージに1箇所だけ暗い場所がある。そこだけ熱も帯びず冷たくなったまま。スターが立つ一点の場所にもそんな場所があるのかと雲が一つ消えた。
この夢追い続けたら自信を持ってお前にまた会える気がするんだよ。
いつもと同じような夜に、一人の世界でまた同じ夢を見る。

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